「あんな最低な奴でも、私を愛していると思っていたのに!」

「君が挑戦する007の冒険」
  第一巻「穴馬にかけろ」 Win, place, or die RLスタイン
  第二巻「とどめはパンチでいけ」Strike it Deadly バーバラ&スコット・シーゲル

はじめに
本自体は公式ノベライズではなくゲーム・ブックの形をとっていて、話を読んでいくと途中で選択肢が現れ、それにより殺されたり任務達成したりします。公開当時、日本でもゲーム・ブックのブームが起こっていたため、日本でも全四冊が発売されました。第一巻が「獲物たち」の映画の前半、第二巻の映画の後半という構成になってます。
天然の誇大妄想、偏執狂が多いシリーズのなかで、唯一の人体実験というキーワード出てきた作品で、そこらへんの映像にならなかった部分がノベライズで読みたかった作品ですね。

悪玉のキャラクターが光ってたがゆえに、映像的怠慢が気に入らない映画でもあったり。だってねぇ、ゾーリンが目的を果たすために行う、テロ行為「メインストライク作戦」が、「スーパーマン」でレックス・ルーサーがやったことと同じで、その表現方法で完全に負けているからねぇ。見せ場になってないのが悲しい・・・「カリフォルニアーはオレのモノー」と大見栄切って高笑いしたルーサーの勝利の顔が目に浮かぶようで・・・

ストーリィ
ロシアの北東部に広がる氷原・・・ボンドは雪と氷で埋もれていたOO3の死体を発見した。救出作戦は失敗したのだ。しかし死体からはマイクロ・チップが発見される。OO3がソ連から入手したマイクロ・チップはイギリスで開発されたものであり、超電磁波からの障害にも耐性をもつ。それを組み込んだ機械は、原爆戦後の戦場でも活動できる可能性がででくる。導き出される疑惑はただひとつ、イギリスのマイクロ・チップ研究所にソ連のスパイがいる。ボンドたちの調査が始まった。調査のターゲットはそのマイクロチップ研究所を買収したフランスの企業、ゾーリン・インダストリー。

黒い悪玉
マックス・ゾーリン
容疑者のマックス・ゾーリンは石油とエレクトロニクスで財を成していったフランスの産業資本家で徹底した反共主義者として有名であり、ゾーリン・インダストリーが所持している超電磁波に耐性をもつマイクロ・チップはのちにフランスの切り札となる、全ての環境に対応する戦略ヘリ・ティーグルのテクノロジーに応用される。しかしゾーリンには仮面の裏があった。
彼はKGBの手引きで東ドイツから抜け出した、ロシアのスパイで、例のマイクロ・チップは彼の手により送られたものだった。しかも現在、カモフラージュとしていた会社が巨大に成長し、ゾーリンはKGBのスパイでありつづける必要が無いほどの富と権力を手に入れていた。彼はパートナーのメイ・ディと共にロシアを裏切り、ある種の世界制覇をもくろみ始める。ゾーリンはマイクロ・チップ産業の中心地であるシリコン・バレーを海に沈め、マイクロ・チップの世界市場の支配権を握るために、人工的にサン・アンドレアズとヘイワードの断層に地震を起すというものだった。ボンドはそれを阻止するために、ゾーリンによって地質学者の父を死にいやられたステイシーと組んで立ち向かう。

ピンクのヒロイン
メイ・ディ
ゾーリンはゴゴール中将自らが乗り出していかねばならぬほどの危険人物だった。彼とメイ・デイ、二人はその存在そのものが、ソ連にとって重要な国家機密だったのだ。ドレスデンで生まれたゾーリンは幼いとき強制収容所でメイ・ディとともに遺伝子工学上の人体操作によって生まれたサンプル、この世での「たったの二人」だった。ゾーンとメイ・デイの欲望を超えた固い絆はここにありる。しかし実験をされた子供は、大人になるにしたがって高い知能と、素晴らしい肉体をえるがその反動で精神異常をきたしてしまう。ゾーリンにそれが顕著に表れたいまでも、メイ・ディの気持ちは変わらない。しかし、断層爆破の爆薬を貯蔵しておくラッキー・ストライクでの攻防で、メィ・ディはゾーリンに見捨てられてしまう。その裏切りに対してボンとの味方につく。起爆装置を高山から運び出すことに成功するが、自分自身を救うことが出来ず、起爆装置とともに爆死してしまう。

本日のいかさま
馬の体にマイクロチップを埋め込み、同様のものを仕込んだ鞭が馬を叩くと、チップから一新される電気信号が、馬の神経を刺激し、疲れを感じさせなくする。馬はいくらでも走れるというわけ。

kl